技を磨く

大工の技

木における『技』とは…

寺社仏閣や日本建築にとって、木(木材)は建築材料のほとんどを占めています。すなわち、木に関連する『技』が建物を完成させる技術に直結するといっても過言ではありません。木における技と言っても多岐にわたりますので、ここではその一部を紹介します。

選ぶ技術

丈夫で長持ちする建物にするために最も重要な工程のひとつが『木材の選び方』です。原木を見て、良いものかそうでないものかを見分けるだけでなく、その木の持つ特性によって適材適所、つまりどの木材を建物のどの部分に使うべきかを決めます。木の種類はもちろんですが、同じ種類の木であっても一本一本個性(見た目やクセ)がありますので、その個性を活かすことも考えなければなりません。長年多くの木を見たり触れたり、木に携わることで次第にその力がつきますが、五感を研ぎすまし、木と真剣に対峙しなければならない、とても繊細な技術です。

当社では、長年培ってきた確かな目と、日本はもとより世界各国とのネットワークにより、施主様の予算やご要望に応じた最適な木材を選んでいます。

木取り

木を読み、どこにどのように使うか決めます。木を知りつくしたものでなければ、せっかくすぐれた原木も生かすことはできません。

乾燥

大きいものはなかなか乾燥しませんが、建物の寿命を決める大切な作業です。長い時は1〜2年ほど乾燥させる場合もあります。

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ラオス材料検査

ラオスに実際に足を運び自らの目で厳選し、地元の方たちと情報交換をしています。

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植栽

資源を次世代へ引き継ぐために、もっと木のことを深く知るために、植栽も行なっています。

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加工する技術〜木材の墨付け〜

木材から、建物を建てるための部材にするためにはまず、大きな合板などに原寸を墨でおこします。その型版をもとに、木材に墨付けをします。墨付けというのは、どこを削り、どこに継ぎ手などの加工を施すかなどを書き込む作業です。

ここを誤ってしまうと正しく接合できなくなってしまう、とても重要なプロセスで、棟梁がその役割を担います。墨付けは大工の聖域とも言われ、熟練の技術を要しますので、腕の見せ所でもあります。

原寸引き付け

原寸作業の床いっぱいに短計断面立面、部材そのものの大きさの断面立面の墨つけ。これが後の作業の要となるため、ミスが許されない。ベテラン棟梁でさえ、一番神経を使う部分でもあるとか。

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墨付け

製材された木材に、部材としての命を吹き込む。加工場で各部材に型版をもとに墨付けをする。暗号にも見えるこの墨付けを見て、大工たちが現場で各部材を刻み、彫刻を施す。

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組み立てる技術〜継手・仕口〜

神社仏閣などの伝統的な日本建築の場合、木材同士を接合するのに金物や釘等は使いません。ほぞ(オス・メス)を開けたり、継手や仕口といわれる伝統的な工法で組み立てていきます。パズルを組み立てるようなこの接合の方法は何百年も前から伝わって来たもので、その種類は何十、いえ何百通りもあります。宮大工はその中から、物件に一番適した形状を決めているのです。仕口や継手は、経験の中から一つひとつ学んでいきます。

※前回分匠の技のページの写真とキャプションを『主な継手・仕口』として紹介する。

組み立て

加工場での墨付けが終わると、大工たちと共に現場で作業を行なう。千年万年持つようにと心を込め、匠の技を施し、形にしていく。

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主な継手・仕口

四方かま継ぎ

45度方向に2個のかまをつくり、斜めの方向から差し込む。柱面にてかまの一方の肉が薄く、製作には高度の技術が必要である。この継手が用いられるのは太い柱などで、固いけやきなどの材を使うことが多い。この継手は、4面が全く同じかまの形状を示すことが特徴である。
継ぎ方イメージ

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貝の継ぎ

製長い継手部分を差し込む形式のため、根継ぎなどには不便で、塔の中心柱など特殊な所に用いられる。継手の先の開きを押さえるために、めちほぞが設けられているが、これがないものがフランス式である。
継ぎ方イメージ

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金輪継ぎ

男木、女木ともまったく同形である。その男木、女木の中央のあご面を接合させ、材軸方向に移動させる。次にあご面間にできた間隙にこみ栓を打ち込んで完成する。「追かけ大栓継ぎ」と呼ばれる継ぎ手によく似ているが、材軸方向に移動して組みたてるのは金輪継ぎならではの手法である。
継ぎ方イメージ

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引き独鈷知栓

引き独鈷知栓は柱と足固めなどの仕口です。すでに建っている柱と柱とのあいだに指鴨居を接合してゆくときの技法で、一端が蟻、他端が竿車知になった雇いをまず柱に寄せ蟻の技法を用いて納め、それと指鴨居を竿車知で接合します。
継ぎ方イメージ

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彫刻する技術

日本建築の魅力の一つでもある彫刻は、もちろん一つひとつが彫刻師による手作業で行なわれます。精巧さが求められる細かな仕事で、一つの彫刻が完成するのに、数ヶ月かかることも珍しくありません。また、社寺仏閣の修復を行なう場合、もともとあった彫刻をそのままの形で復元させることが多いのですが、この場合、まず昔の彫刻がどのような技で掘られていたかを見極め、昔の作品と対峙しながらの作業になります。出来上がった作品はとても華やかですが、とても根気のいる繊細な仕事です。

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一つの作品にとりかかると、それが完成するまで毎日コツコツと彫り続ける。復元する場合、ちょっとした曲線や表情でイメージがガラッと変わってしまうため、確かな目と熟練の手技が求められる。